小説ラスクロ『アニーよ、銃を取れ』/時代2/Turn4《野薔薇の姫神》

12-034C《野薔薇の姫神》 戦士たちが愛でし薔薇は、例え戦いの中で散ろうとも、その美しさを永遠に残します……大地に勇気と力の種をまいて、ね。  これから為すべきことを考えて、《夜露の神樹姫 ディアーネ》は己の膝元に視線を落とした。 《神...

小説ラスクロ『アニーよ、銃を取れ』/時代2/Turn3《コボルトの切り込み隊》

11-035C《コボルトの切り込み隊》 三匹寄れば災難のもと。  獣が草を食んでいる。長い耳に小麦色の毛。黒いつぶらな瞳と愛玩用のものよりは力強い後ろ足。兎だ。穴兎ではなく、野兎。口をもしゃもしゃと動かしていた野兎はふと視線を空に持ち上げ、しば...

小説ラスクロ『アニーよ、銃を取れ』/時代1/Turn2《轟きし力の宝武具》

11-054U《轟きし力の宝武具》 「力解放されしとき、魂そのものが叫び、威光はあまねく世界に轟く。」 ~聖なる大斧に刻まれた古代碑文~ (小さい………)  アンは目の前の女性を見下ろして、そんな感想を抱いた。  女性としては標準的な...

小説ラスクロ『アニーよ、銃を取れ』/時代1/Turn1《チロンヌプ》

11-012R《チロンヌプ》 その矢がもたらすのは、痛みではなくささやかな恵みだ。  人間と家畜の違いはなんなのだろうと考えるに、尻尾かもしれないと思う。たとえば牛は尻尾を振って蝿を追い払うことができるし、犬は尾の振り方で感情を表現できる。だが...

小説ラスクロ『アニーよ、銃を取れ』

 大柄な男が可憐な町娘を抱き締めて銃を突きつける。血と泥のペイントと雷鳥の羽飾り。恐るべきインディアンだ。ただでさえ屈強な男に人質を取られ、保安官も手出しができない。狙い澄ました銃声以外には。  弾丸は狙い違わずインディアンが娘に突きつけていた銃を弾き飛ばした。すかさず町娘は...
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