アメリカか死か/22/01 Broken Steel -1

おれはおれの馬ゆえに心が豊かだ
おれのまえには平安がある
おれのうしろには平安がある
おれの下には平安がある
おれの上には平安がある
おれのまわりには平安がある
かれのいななきは平安をもたらす
おれは永遠で そして平安だ
おれはほかでもない おれの馬自身なのだ
(戦いの神馬の歌 『おれは歌だ おれはここを歩く』金関寿夫訳/福音館書店 より)


  • Rita
    • Lv. 16
    • S/P/E/C/I/A/L=5/9/4/6/4/10/3
    • Tag: Lockpick, Repair, S.Guns
    • Skill:
      • [S] M.Weapon=14
      • [P] E.Weapon=29, Explosives=30, Lockpick=100
      • [E] B.Guns=50,Unarmed=14
      • [C] Barter=30, Speech=45
      • [I] Medicine=40, Repair=70, Science=14
      • [A] S.Guns=100, Sneak=75
    • Perk:
      • [P] Infiltrator, Sniper, Light Step
      • [C] Child at Heart
      • [I] Ammunition Engineer, Daddy's Girl
      • [A] Thief, Gun Nut, Silent Running, Action Girl
      • [Others] Black Widow, Gunslinger, Intense Training (STR), Fineness+
    • Equipment: 14mm Pistol, SIG Sauer Pistol, Infiltrator, M79 Grenade Launcher, Vault Exile (MOD), Cyber Arm (MOD), Augenbandage (MOD)


Death From Above

 漆黒のバイクが西へ西へと荒野を駆けていた。
 バイクは空気を切り裂き、草花を踏みつけた。Raiderを撥ね飛ばし、Super Mutantを薙ぎ倒した。ここはCapital Wasteland。一歩間違えれば放射能汚染地帯。安全な場所など無い、それがCapital Wasteland。
「そうすぐには変わらない、か………」
 バイクの座上からRitaは呟く。


 Jefferson記念館での戦いから約一か月。
 Ritaは戦いから2週間経ってから目覚めた。だが同じくJefferson記念館に踏み込んだSarahは、未だ目を覚ましていない。



第四段落


正義の戦士


 目覚めたのは、顔に何か生暖かいものがかかっていたからだった。
 目の前にいたのは、寝台に寄りかかるようにして直立していた犬だった。口からだらしなく垂らした舌でRitaの顔を舐めとるそれはLynnの犬であり、Jefferson記念館で怪我をしたあとはCitadelに預けられていたDogmeatだ。
 Ritaに取り付けていた医療器械が異常でも発したのか、BOSの医者が遅れてやってきて、それからElder LyonsやRothchildが駆けつけてきた。そしてRitaがJefferson記念館での戦いののち、2週間ぶりに目覚めたのだということを教えてくれた。

「Project Purityは?」
 と尋ねれば、Lyonsが結果を見せてくれた。
 Aqua Puraとラベルが貼られたボトル。これがProject Purityの産物だ。 


 有り余るほどの水があるというわけではないが、浄化櫓には汚染されていない水が溢れており、BOSはその水をCapital Wasteland各地に無償で配布している。
「もはやWastelandと呼ばれることはなくなるだろう」
 とElder Lyonsは言っていた。


 良いことばかりではない。Enclaveとの戦いは完全に終結したわけでもなかった。
 現在はSarahが率いていたBOSの戦闘員であるPride隊と、件の巨大ロボ、Liberty Primeは未だ作戦を続行中で、Enclaveの残党狩りをしているらしい。

 話を聞き終えたあと、Ritaは一週間ほとんどベッドの上で過ごした。VaultやRavens Rockで無理をし過ぎたのがたたった。そのあと一週間かけて、ようやく元の体調に戻った。
 元気を取り戻したRitaがElder Lyonsに「何か手伝うことはないか」と尋ねたのは、Sarahのことがあったからだった。
 Ritaと同じく、Enclaveとの戦いでJefferson記念館に踏み込んだSarahは、未だ目を覚ましていなかった。父であるLyonsは、「あの子は心配ないさ」などと言っていたが、不安の色がありありと見て取れた。Sarahとは友だちで、だから彼女が目覚めぬ間にでも、何か手伝いをしてやりたかった。
 
 手伝いを願い出ると、Elder Lyonsは申し訳なさそうにしながらも、Ritaの申し出を受け入れた。どうやら浄化装置の警備、浄化した水の配布、Enclave残党の討伐など、BOSはやらなければならない仕事を多数抱えているらしく、猫の手でも借りたい状況らしい。


「とりあえず簡単に、現在の状況を説明しよう」
 と前置きして、現在のBOSとEnclaveの戦闘状態についてRothchildが説明してくれたところでは、BOSはLiberty Primeを使ってEnclaveの司令部を壊滅させ、残党狩りの体勢に入っているのだという。いまは南西の旧軍事基地に集まったEnclaveの掃討作戦の最中だそうだ。
「Liberty PrimeはEnclaveの干渉を防ぐため、定期的にパスワードを変更することになっている。Ritaにはそのパスワードの輸送を頼みたい」
 とRothchildに頼まれた。
「それだけ? っていうか、パスワードって物理的に運ばないと駄目なの?」
「Liberty PrimeはBOSの最重要兵器だからなぁ。電波に乗せてのパスワード変更は禁止されている。あちらで何かあるかもしれないが、そのときはPaladin Tristanに従ってくれ。彼が作戦の責任者だ」
 ということで、早速Ritaは出発した。

 輸送任務を頼まれたのは、未だバイクの認証が変更されていないからだ。黒塗りに橙の塗装がされたバイクには、RitaとLynn以外の人間だけが乗っている場合は動作しないのだ。解体して設定を変更し直すだけの余裕は、いまのBOSには無いらしい。


 久しぶりの騎上の風を感じながら、RitaはCapital Wasteland南西の旧世紀の地下通路入り口に到着した。入口では連絡が行っていたのだろう、BOSの兵士が出迎えてくれた。
「きみがKnight Ritaか」
 と作戦の責任者である禿げ頭の男、Paradin TristanがRitaを見とめて近づいてきた。

(Knightね………)
 Elder Lyonsによって、RitaはBOSのKnightという立場になっていた。どれくらい偉いのか、いまいちわからないので実感が無いし、肩書きは余計なものだという気がしないでもなかったが、向こうとしては贈り物のつもりなのだろうから、と拒否しないでやったのである。
 Ritaはパスワード変更用のモジュールをTristanに渡す。
「ご苦労だったな」とTristanは頷いて、技術官にそのモジュールを手渡す。
「はぁ。で、あとは特に仕事は無い?」
「無い、が、Liberty Primeの戦いぶりが見られるぞ。見学を許可しよう。ついてきたまえ」


 Tristanの言葉は有無を言わせぬ調子であり、Ritaの返事も聞かずに奥へと進んでいく。Ritaは溜め息を吐いた。SarahやRothchildには世話になったのでいま恩返しをしているようなものだが、やはりBOSは勝手だ。


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