かくもあらねば/32/07

Cecilia
Lv. 7
S/P/E/C/I/A/L=4/10/4/5/8/6/3
Trait: Logan's Loophole, Wild Wasteland 
Tag: E. Weapons, Science, Survival
Skill:
[S] M.Weapon=20
[P] E.Weapon=50, Explosives=25, Lockpick=30
[E] Survival=45, Unarmed=12
[C] Barter=14, Speech=14
[I] Medicine=35, Repair=20, Science=60
[A] Guns=16, Sneak=16
Perk:
[P] Run'n Gun
[I] Comprehension, Swift Learner
[Other] Brainless, Heartless, Spineless
Equipment: Sonic Emitter, X-2 Antenna, Patient Gown

 Dr. Borousは言う。Nightstalkerはこの場所で生み出されたのだ、と。


『-そう、従順で、好奇心が強く、安全な、そんな生き物を作り出したのは、このDr. Borousだ。Nightstalkerはその生態の研究とDNAの保存のため、このBig MTの中で保育されて……-』
「そんなことないです」
 という言葉がCeciliaの口から出ていた。ほとんど反射的な言葉だった。
『何がそんなことない、だ』とDr. Borousは話を遮られたためか、怒りを露わにして言う。『-動物風情がぼくに命令するのか?-』
「ど、動物?」


『-ホルモンと毛穴と腺を皮で包んだだけの動物だろう? 違うのか-』
「わたしが動物だろうとなんだろうと呼ぶのは勝手ですが、あなたは間違っていますあのNightstalkerは、このBig Mtの外に漏れ出ています」
『-そんな馬鹿なことがあるもんか。あれは研究目的で、このBig Mtの中だけで飼われているんだから。馬鹿は何も解らないんだから、黙っていろ-』
 かぁと怒りが込み上げてくるのを感じる。この男は、こいつらは、Big MTのやつらは最低だ。
「あなたがたのそういういいかげんな対応のせいで、MojaveのNightstalkerは………!」
『-Mojave? おまえが発見されたのは南部のはずだが………-』

 目の前が真っ暗になったことを覚えている。
 暗闇の中で聞こえたのは、『また機能停止した』だとか『面倒な個体だ』だとか、そんな言葉で、それらの言葉がCeciliaを指しているのだということが、霞がかった思考状態でも解った。

 意識が覚醒状態に戻ったとき、CeciliaはThink Tankの展望台にいた。ちょうど、最初に目覚めたときと同じように。
(いや、最初じゃあなかったのかも)
 自分は、こんなことを何度も繰り返しているような気がする。何度も。何かを切っ掛けに、意識を失って、そしてたぶん記憶も失って。

「その切っ掛けになっているのは、わたしの記憶だ」
 Think Tankの外に出て、Ceciliaは考える。
 思えば、Think Tankの科学者たちは、Ceciliaに何かを隠すようなところがあった。それはCeciliaの生い立ちに関するものではなかったか。
 自分には、何か直視したくない現実があるのかもしれない、とふと思う。それを突きつけられそうになるたび、見ないふりを、見ないふりをしているのではないだろうか。


 だが希望も芽生えている。Ceciliaは、徐々に己のことを思い出してきている。いや、思い出しているというのとは少し違うかもしれない。ふとした切っ掛けで、過去の記憶が形になることがある。たとえば、Dr. Borousとの会話では、自分が西部と南部へ行ったことがあるということが判った。
(きっと、旅をしているからだ)
 Big MTの中でだけの、ほんの小さな旅だ。だがそれでも、なんだか懐かしい。きっとCeciliaは昔、旅をしていたのだ。Big MTでの探索を続けていれば、いつかは記憶が完全に戻るかもしれない。

Discovered: X-8 Research Center

 そんなふうに前向きになっていたCeciliaの心は、X-8に訪れたときに打ち砕かれた。
 天井から伸びるマニピュレータが、その先に取り付けられた丸鋸で得体の知れぬ肉を切り刻んでいた。


 手術。いや、そんな生優しいものではない。

 壁一枚、硝子を通した光景である。丸鋸が襲い掛かってくるわけではない、だがCeciliaには、まるで己が身を切り刻まれているように感じた。
 否、切り刻まれているのは、親だ。きょうだいだ。友だ。

 ふらふらとした足取りで前へと進む。前へ、前へ進まなければ何処へも行けないのは解っていた。気持ちが悪い。お腹が痛い。それでも、前へ、前へ。通路の真ん中に、Robotomiteが倒れている。死んでいる。それでも、それを踏みつけて、前へ、前へ


 目の前に現れたのは三つ目の、火を吹くロボット。Mister Orderly。CeciliaはX-2 Antennaを振るった。蝸牛のように突き出した目が、虫のような足が千切れ飛ぶ。前へ。前へ。


 X-8でのテストを終えなければ、Sonic Emitterのアップグレードはできない。テストを開始して鋼鉄の入口を潜れば、調度品が整えられた四角い部屋の中だった。


(学校、みたいな………)
 学校などというのは映画でしか見たことがないが、進むにつれて木製の机だの椅子だの教科書だのがあったので、やはり学校を模していると考えて間違いがないのだろう。


 テスト課題は学校を模したこの空間に散らばった3箇所のコンピュータから、生徒のデータを取得せよ、というものだった。Robotemiteを、Cyber Dogを、Nightstalkerを叩き潰しながら、Ceciliaは進んだ。手は、指は、石のように冷たくなっていた

0 件のコメント:

Powered by Blogger.