かくもあらねば/17/08

Put the Beast Down


Si
  • Lv.21
  • S/P/E/C/I/A/L=6/10/4/6/4/9/1
  • Trait: Fast Shot/Wild Wasteland
  • Tag: Guns/Repair/Surviva
  • Skill:
    • [S]: M.Weapon=40
    • [P]: E.Weatpon=23/Explosives=23/Lockpick=85
    • [E]: Survival=50/Unarmed=15
    • [C]: Barter=53/Speech=23
    • [I]: Medicine=15/Repair=84/Science=14
    • [A]: Guns=89/Sneaking=55
  • Perk:
    • [E]: Walker Instinct
    • [C]: Coprehension/Educated
    • [I]: Hand Loader
    • [A]: Rapid Reload/Quick Draw
    • [Others]: Lady Killer/Comfirmed Bachlor/Gunslinger/Finesse
    • [Challenge]: Bug Stomper/Camel of the Mojave/Day Tripper/Lord Death/Tough Guy
    • [Special]: Ghost Hunter/Sierra Madre Martini
  • Equipment: Police Pistol/Horo Rifle +++/Cosmic Knife/Dean's Tuxedo/Dead Money Collar


痛い。
(頭が痛い)

目を開けると、見えるのは天井、そして傍らのベンチに座ってうつらうつらと櫂を漕ぐ銀髪の女の姿だった。天井を見上げていたことを考えると、自分は寝ていたわけで、一方で彼女が寝てはいても座っているだけということは、自分はどうやら彼女に手当てでもされていたらしい

いったい何が起きたのか、それを辿るために、Siは記憶を遡ってみた。彼女、KutoとともにSiはSierra Madreカジノに入った。目にしたのはここにいないはずのDean、Dog/God、Christeanらが倒れ伏している姿だった。そしてSiは気分が悪くなり、彼らと同じように床に倒れてしまった。どうすることもできず、意識を失った。そして。

そして。

そこから先は覚えていないということは、そこで意識を失った後に運ばれたということか。しかし首を動かしてみれば、Siたちがいるのは倒れたはずのカジノの正面玄関から数歩程度しか離れていない噴水の傍のベンチだった。KutoがSiをここまで運んでくれたのであろうことは想像に難くなく、とすれば彼女の細腕でベンチに押し上げてくれただけでも上出来だ、とSiは素直に感謝した。
しかしKutoはここにいるから良いとして、同じく倒れていたChristeanたちは、いったいどこへ行ってしまったのか。否、そもそもなぜ彼らはここにいたのだろうか。もともとElijahからカジノの中に入るように言われていたのはCollar 21、つまりSiとKutoだけだったはずなのだが。
否、それよりももっと重要なことがある。カジノの中、ここは空気が赤くない。

「Silas!」
Siにとっていちばんの心配事は、その声とともに解消された。頬に当たる柔らかな感触は、Sumikaのものだ。
無言で手を伸ばし、その柔らかな身体に触れる。どこも傷ついていないことを確認した後、ようやく一息吐けた。
「無事か?」
「うん……、ずっと苦しかったけど、もう大丈夫」
その言葉通り、外にいたときとはまったく違う、張りのある声だった。あの赤い空気から逃れて、活力を取り戻したらしい。
それよりも、Siは大丈夫なの、と彼女は心配そうな声で訊いてくる。「なかなか起きなかったけど、頭痛かったりとか、しない?」
「問題ない」
身体を起こしながら、それより彼女は、と眠っているKutoを顎でしゃくって示す。
「Kutoは……、さっきまでSiの看病と、見張りしてくれてた

SumikaはKutoを嫌っていたはずである。Goodspringでは、村人を煽るだけ煽って、自分はさっさと逃げてしまった、勝手なやつだ、とそんなふうに言っていた覚えがあるが、彼女の声色を聞くと、どうやらKutoに対する嫌悪感はだいぶん薄れているようだ。それだけKutoが、献身的に看病をしてくれたと、そういうことだろう。

「現状、どうなってるかわかるか?」
Siが問いを発しつつ、自分の装備を確かめていると、いつの間にか自分の服装が様変わりしていることに気付いた。病院で見つけたAssasin suitを着ていたはずだが、それがいつの間にかタキシードに変わっていた。なんだ、これは。カジノに入るのにぴったり過ぎる服装ではないか。
「あ、それ……、Kutoが着替えさせてくれたの」とSiの戸惑いを感じてか、Sumikaが教えてくれた。
「着替え?」
「Si、吐いてたから。たぶんわたしたちを眠らせた攻撃か何かのせいだと思うけど……、覚えてない?」

そういえば、昏倒する直前に何かを見た気がする。青く光る、人影か。あれはカジノのセキュリティだろうか。
入口のほうをよくよく見てみれば、染みが広がっている。どうやらあれがSiが嘔吐した痕らしい。どんな攻撃を受けたのかはわからないが、確かに未だに胸がむかむかするような感覚がある。

「ま、それは良い」とさらに装備を確認しつつSiは言った。銃などは、特に問題がなかった。「状況は、わかるか?」
「わたしも、正直なところ、あんまり」
「おまえも攻撃は喰らったのか?」
「うん。だから、ガスか何かだと思う。催涙性とか、催眠性っていうのかな」
「ふむん……。カジノに入ってからの時間とかは?」
「それも、わかんない。ごめん」
「いや………」
Siは腹に手を当ててみた。吐いたせいか、腹が減ってはいるものの、そこまで重い空腹感ではない。尿意も感じるほどではなく、眠っていた時間は大して長くなかっただろうという想像はつく。
あとはKutoを起こしてみて状況を訊くしかないが、彼女にしても現状を把握しているとは思えなかった。何より、安らかな寝顔を見ていると、起こすのが躊躇われる。

そんなふうに逡巡していたときである。急にスピーカーが繋がる音がした。
しばらくの間、雑音が流れ続けていたが、それは徐々に意味の通る音になった。老人の声だ。Elijahだ。
『Collar 21、ちゃんと中に入れたかな? いま、非常電源に切り替えたのだが……』
「ふぁ………」
館内放送に反応してか、Kutoが目を覚ました。欠伸をして、ああ、牧師さま、おはようございます、起きたんですね、と緊張感なく言った。

『おお、いるな。よしよし』と勝手にElijahの音声は喋り続けていた。『さて、残念な報告がひとつある。きみたちはこれで終わりだと思っていただろうが、少し手伝ってもらわなければいけないことがある。きみたちの友人たちが、いやぁ参ったね、どうやってかは知らないけれど、ここまで来るルートをそれぞれ見つけてきてしまってね、勝手に侵入されてしまったのだよ。幸い、カジノのセキュリティ・システムが作動したおかげで、無力化することはできたのだが。ちょうどきみたちが昏倒したようにね』

SiとKutoは顔を見合わせた。友人というのは、Dog/God、Dean、そしてChristeanのことだろう。彼らは各々、独自のルートでカジノに侵入したということか。しかし、なぜ?

『わたしがきみたちにお願いしたいのは、いなくなってしまった彼らの捜索だ。きみたちの友人が、今後も使い物になるかどうか、それを判定してほしい。もしこちらの言うことを聞かない、となれば、殺してしまって構わないよ』

Kutoは立ち上がると、両手を大きく上に伸ばした。うぅん、と気持ち良さそうに唸る。

『さぁ、秘められた金庫の扉が開くのはもうすぐだ。頑張ろうじゃないか』
ぷつと音声は途切れた。
「さて」とKutoは振り返って肩を竦めた。「まだお休みというわけにはいかなさそうですね」



0 件のコメント:

Powered by Blogger.